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きらめきおばけ

隣国のきらめく男子たちの記録

愛を乞うスーパージュニアと、愛を乞わせる東方神起

2003年デビューの東方神起と2005年デビューのスーパージュニア。この2組は、年齢層もほぼ同じで、デビュー前には横断的にグループを組んでデビューを目指していたことで有名です。(ヒチョルユノジェジュンカンインや、ソンミンウニョクジュンスなど)

しかし、デビューしてからの彼らは、正反対のプロデュースをされていました。この2組を生み出した時のSMのバランス感覚とプロデュース感覚は、ちょっとやっぱり尋常じゃないもののように、今振り返ると思います。そして、この2組の圧倒的な差異が、あのころの私を熱狂させたし、それは今に繋がっていると信じている。ので、今日はちょっとこの2組の関係性とプロモーションの違いを見ていきたいと思います。

 

この間、東方神起とスーパージュニアの関係を明確にMCの方が捉えておりました。

東方神起とスーパージュニアなんて、王様と乞食みたいなもんじゃん!」

スジュのみんなはハハハ…と笑っていましたが、この例えはあながち間違いではないところが悲しいですね。

 

 

東方神起に付与されたポジションは、

・王道

・王様

・カリスマ

とにかく、アイドルの王道を突き進む集団でした。それもそのはず、SMエンタの原点であり、K−POPの歴史に燦然と輝くH.O.Tの正式な後継者として集められ、韓国のSMAPを作るという壮大な目標(ゴールデンプランと呼ばれていました)のもと、大切に大切に作られてきたグループだったのです。完璧なプロモーションの結果、デビュー直後の1集から、東方神起は韓国はじめアジア中から熱狂的な支持を受け、一瞬にして、10代の少年たちがスターダムに押し上げられました。

(日本での道筋はまた別ですが、そしてこの韓国⇄日本の音楽界の齟齬を最も最前線で身を削って受けてしまったがために、この完璧なグループはわずか6年で空中分解してしまったと私は推察しているのですが)

 

一方のスーパージュニアに付与されたポジションは

・邪道

・エンタメ集団

・なんでもあり

デビュー以来、常に1位、第一線をひた走っていた東方神起とは対照的に、スーパージュニアの滑り出しはあまり芳しいものではありませんでした。それもそのはず、事務所の方針が全く定まっていなかったからです。当初は、韓国でいうところのAfter Schoolのような、というかお手本にしたのは90年代〜00年代初頭のモーニング娘。ですが、卒業制・入れ替え制を取ろうとしたらペンの猛反発にあい、結局キュヒョンだけを後メンバーとして追加するもその後は人数固定制というなんともグダグダなグループでした。

もちろんその最大の被害者はメンバーであり、仲は悪いし、揉めるし、人数多いから一人当たりのパートも少ないし、その割に東方神起と比べて明らかに経費をかけてもらえないしで、散々だったと思います。Marry UのMVなんて、今見ても本当に酷い。よく今のところまで持ち直せたと思います。このグループの軌跡も本当に凄い。

 

 

まあそんなこんなで、2つのグループには全く対照的な価値が半分くらい計算で、半分くらいは成り行きで付与されました。スーパージュニアも徐々に人気をつけ、2集のリパケでは1位を取れる程度の実力も備わってきました。そして、あの2008年〜2009年、東方神起1年7ヶ月ぶりの4集カムバ、スーパージュニア3集カムバへと突入するのです。

事務所のグループに対する姿勢が最もよく表れるのが、カムバのプロモーションです。アイドルにとってカムバは、日本のシングルリリースの重さとは違い、その1回で全てが決まる重さを持っています。そのカムバ曲で何を見せるかによって、アイドルの価値が決まるし、評価も決まる。アルバム曲が全てダメでも構いませんが、カムバ曲は絶対に絶対に、外してはならないし、そのグループを象徴する存在でなければならないのです。

 

まずはお互いの代表曲から見てみます。両曲は1年違いで発表されましたが、ひたすら1位を取り続け、ペンのみならず、一般社会まで浸透していた印象があります。少女時代のgeeの流行とも重なり、SMが単純に楽曲で席巻していた時期でした。

和訳は、基本的に事務所公式DVDの日本語字幕の書き起こしです。これがおそらく、事務所の意図に最も近い翻訳なので最も参考になります。日本語おかしいところが多々ありますが。

 

・Mirotic(呪文)東方神起, 2008

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始まりは甘く、ごく自然に俺に惹かれるんだ

いつだってそうだったみたいに 先に声をかけてこいよ

どんな可能性があるかわからないだろ oh

愛とは何々である 何々である!

飾りにすぎない言葉 Red Ocean

俺は  breakin me rules again

わかってるだろ 退屈だって?

少しくらい傷ついたってお前は平気さ oh

 

お前は俺を求め 俺に夢中で

狂いそうで 抜け出せない

I got you under my skin

お前は俺を求め 俺に夢中で

狂いそうで お前は俺の奴隷

I got you under my skin 

 東方神起は、常に完璧な王様的存在なのです。自分たちを好きにならない者なんていない、という前提条件があるのです。そのため、歌詞も高圧的で「俺たちを好きになるのが当たり前」的なスタンス。「少しくらい傷ついたってお前は平気さ」とかいう歌詞は正直びっくりしました。10代のいたいけなアイドル好きの女の子に向ける言葉としては少々厳しすぎる。とにかく、好きになってくるのはお前、的なスタンスでこちらを圧倒してくるのです。

アイドルの仮面をつけさせながらも、彼らは本質的にはアーティストである、というのがこのグループの特徴でもあります。そのため、ペンの求めるアイドル的価値と、自分たちの持つアーティスト的自負の板挟みになったメンバーが、事務所の方針についていけなくなったというような気がしています。

 

 

・Sorry, Sorry Super Junior ,2009

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眺める瞳の中に、瞳の中に、

僕はまさに何かに取られたようなやつ

歩いてくる君の姿、君の姿

君はまさに僕のハートを踏んできたよう

 

Sorry Sorry Sorry Sorry

僕が、僕が、僕が、先に

君に、君に、君に、はまって

おちて、おちてしまえBaby

Shawty Shawty Shawty Shawty

目が眩しくて、眩しくて

息苦しくて、苦しくて、

僕が狂ってしまいそう Baby 

スーパージュニアのソリソリは対照的に、素敵なアナタに夢中の僕、というスタンスの曲です。力なき者の戦法、下手に出て愛を乞うのがスーパージュニアなのです。デビュー当時はやんちゃな男の子たちという印象でしたが、3集では衣装にスーツを着させました。(ここからスーパージュニアはスーツを着させとけば最強説が始まります)

ちょっとオトナなお兄さんたちが、「美しくて素敵なアナタに夢中」と言うのがスーパージュニアのメンタリティーの基本です。そのため、スーパージュニアのメンバー内にはアイドルに徹する、アイドル的割り切りが爆発的に生まれてきて、それが長寿グループの秘訣となっていくのです。

 

 

他の主要曲のスタンスも、ほぼ同じです。

 

 

 ・HEY!  (Don't bring me down)   東方神起,2009

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Hey, dont bring me down

普通の男と一緒にするな

愛し方を知ってる男なら

いつでも立ち止まらない道を選ぶんだ

Hey, dont bring me down

渡り鳥みたいな男だと思うな

最後の瞬間に お前の男が誰なのか見てろ

 

二度と俺を揺さぶろうなんて考えるな

ありのままの俺を見ていろ

今どきの人々の視線に合わせて

俺を価値のない男にするな

ミロコンのパフォーマンスは、私が今まで見た全パフォーマンスの中で最も好きなものです。東方神起のカリスマ性の結晶。

この曲のストーリーは、一応、 アイドルらしく、彼女に振られる寸前の男の話です。彼女が自分を試そうと、部屋から出て行こうとしています。スーパージュニアだったらここで「君がいない部屋は僕には寂しすぎて、頼むから戻ってきてよ」的なことを必ずいうはずです。(そういう曲が何曲もある)

しかし、東方神起は「二度と俺を揺さぶろうなんて考えるな」「最後の瞬間にお前の男が誰なのか見ていろ」と、超・高圧的。しかし、少女漫画にてドS男子が勝つ理論と同様に、こういう自信があって引っ張ってくれて、自分を痛烈に求めてくれる男性像が、10代の女の子たちを熱狂させていくのです。

 

 

・BONAMANA 美人 Super Junior, 2010

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君は知っているのかいないのか 美しい人

どうかしてると言われても好きだ 美しい人

誰か伝えて my baby, to my baby

僕がここにいると 待っていると

 

Bounce to you Bounce to you 僕の胸は

君に向かって抑えきれないくらい 弾んでいるのに

Break down to you down to you 僕の胸は

君を手に入れられなきゃ 止まってしまう 

ソリソリヒット後の4集のせっかくのカムバなのに、とりあえずカムバしとけ的なノーコンセプト感に私は当時本当にびっくりして、スジュの扱いを嘆きましたが、この曲も本質的にはソリソリと同様です。

 

 

 

この正反対の姿勢は、東方神起の5人が解体してからも続きました。2人になって初めてのカムバ曲、『Why?』

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歌詞については、諸説あるというか、体裁は彼女に捨てられた男の話になっていますが、誰がどう考えても事務所を捨てた3人をなじりつつも、俺たちは耐えてこの場所を、東方神起を守り抜くぜ的な歌詞で、常に紛糾してきた問題なのでスルーします。

冒頭で、2人とは別音声が

THIS IS RETURN OF THE KING

と叫びます。(これに震えたトンペンは多かったと思います。)

あくまで、人数が減っても、SMエンタは、東方神起がKINGであると示してくる。東方神起は永遠の王であるのだなあと、ゴタゴタがあった後でもそういう扱いをされるのだなあと、私はこの時に心底感動しました。

 

 

10周年のスーパージュニア、記念アルバム『Devil』

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僕が今 言おうとすることは

ちょっと変かもしれない

なぜだか君はちょっと難しくて

僕はいつもてんてこ舞い

 

君は冷たくて熱いDevil

真夏の夕立シャワー

熱くなった身体を濡らした後に

そしてまた 喉を乾かせる 

君は遠い砂漠のオアシス

真っ赤な赤道の影

一瞬だけ喜びを味あわせて

そしてまた 喉を乾かせる

この曲については、ようやく、ようやく本気をだしたね…という感動もあり、超最高という感想しかないのですが、というかKポ曲の中で最も好きくらい好きな曲であり、この1曲についていずれ書きたいくらいですが、これもやっていることはソリソリ時代と全く変わりません。強いて言うなら、オトナの魅力というか、エロさが加わったぐらい。

 

 

 

 

常に愛を乞うてきたスーパージュニアと、愛を乞わせてきた東方神起。もちろん、アルバム曲では、東方神起は(特にメンバー作詞曲は)白馬の王子様のように優しく、女子を慈しんでいるし、スーパージュニアには遊び人っぽい曲も、高圧的な曲もあります。しかしやはり、カムバ曲というのが、事務所がそのグループをどう売りたいかが最も色濃く表れます。

この2組が対照的な存在だったからこそ、トンペンとスジュペンを掛け持ちする人は多かった。トンペンとビッペンは掛け持ちしづらいのです(共に王様なので)。こうして、SMエンタの巧妙なプロデュースにまんまとハマった私は、東方神起を失った痛みをスーパージュニアで癒しながら、そしてたまにSHINeeを眺めてニヤニヤしながら、順風満帆のKポ生活を繰り広げるのでした。(ヒチョルが入隊するまで)

この王道⇄邪道の緩急こそが、SMエンタ最大の武器かと思っていました。最近デビューのグループからその縦のつながりの緩急が失われつつあるのが若干心配ですが、きっと何か別の戦略があるのでしょう。今後もひっそり見守ります。

 

 

東方神起4集、スーパージュニア3集以前の、H.O.T系譜のSMPがまだギリギリ残っている社会風刺カムバ曲や、東方神起哲学三部作の考察などについては、またいずれ。