きらめきおばけ

隣国のきらめく男子たちの虚像を解釈する二次創作

推しがカムバに参加しない。

推しがカムバに参加しない。

なんて悲しい響きだろうか。「推しがカムバに不在」というのはよく聞く話だ。代表的なのは兵役、もしくは怪我、心のバランスを崩して療養中、などというやつもたまにはある。私自身、何回も誰かが不在の色々なグループのカムバを応援してきた。しかし、参加しない、というと話は別である。それもまあ何回かは目にしたことがあるが、良い方向に進んだものはほぼ見たことがない。そして当の私の神・キムヒチョルがカムバ中にソウル市内にいて、他のバラエティなどたくさんの撮影のためテレビ局に絶えず出入りするスケジュールをこなしながらも、カムバにのみ参加しないという決断。歌番組だけではなく、ジャケ写にもMVにも写らず、レコーディングにすら参加していないという。一貫性はヒチョルの類稀なる美徳だと常々思ってきたが、ヒチョルの圧倒的に美しいティザー写真と、甘美な歌声、低音ラップを常に楽しみにしてきた身としては、これはさすがに暗澹たる気持ちになったのだった。

マカオにメンバーたちがMV撮影のために出国し、ヒチョルだけが出国していないのを「オッパどうしたの…」とファン達がザワつき始めた瞬間のweiboでの報告。相変わらずよくもここまでファンの心が透けるように分かるよなあ…と心の中での信頼を確固たるものにするのだが(そしてそれはおそらくヒチョルのある種の圧倒的なオタク素質から来ていると推察するのだが)まあ確かに、晴天の霹靂という訳ではない。ここ1年くらいは本当に頻繁に足について言及していた。特にカムバ活動が本格化した去年の秋くらいからは深刻で、そしてその吐露が必ず、あまりに多忙なバラエティのスケジュールではなく、スーパージュニアのスケジュールと関連しているのにも気づいていた。そして私はその時いつも、リターンズの中でヒチョルが「僕たちは一緒にいると本当に楽しく遊ぶ。歌番組に出なくてもいいからメンバーと一緒に遊びたい(超意訳)」というようなことを言っていたことを思い出すのだった。

しかし私は、ヒチョルの好きなところを100個上げろと言われたら、かなり上位というかほぼほぼトップ3に入るのが「ステージ上での姿」なのである。私にとって、ステージ上でのヒチョルは、圧倒的な華そのもの。「お前がヒチョルペンだからヒチョルが出てくると華があるように見えるんだろ」と言われたら元も子もないが、それでもやっぱりヒチョルの華はものすごいと思う。中世的な美貌とあまりに吸引力がある瞳が現れた瞬間、世界の色が変わるような驚きがある。

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これは顔が綺麗、みたいなことや、ダンスや歌が上手い、ということとは全く異なる、ある種の存在としてのオーラみたいなものだと思う。ただそこに存在して、現れるだけで見る者を惹きつける力がヒチョルにはある。私はこの、ある種の圧倒的輝きを感じたからこそ、ヒチョルペンになったのだった。重ねて言うが「お前がヒチョルペンだからオーラを感じるんだ」と言われたらグウの音も出ない。でも、それがあるからこそ、途中から出てきたソリソリの最後に全員に囲まれて高笑いをして、ひとりだけ直立したままで許されるのがヒチョルなのではなかったか。ノラゴの大サビ前の一番大事なところで現れて、刺すような瞳で「ただ君だけなんだ」と呟くことを(口パクだということがバレても)許されていたのではなかったか。

もともと私が虚像として捉えているヒチョル像は、かなりギリギリのところにいた人、というものである。イメージとしてはキャッチャーインザライのホールデンの系統などに近い。入隊前には少し落ち着いていたが、20代の頃の映像などは今見てもかなりギリギリな感じがする。もちろん、そんなギリギリの危うさを何より愛していたし、思春期らしいべったりとした気持ちの悪い共鳴が私にとってはあったのだが、私も大人になったし、ヒチョルもすっかり落ち着いたと思っていた手前、健康問題という別種の形をまとって、こんなギリギリさに再び直面させられると思ってもみなかった。目の前が真っ暗になるような感覚と同時に、ああ、これがケーポだよな…となんだか懐かしい気持ちにもなった。

この推しがカムバにいない虚無感と暗闇感、どこかで…と思ったら入隊だった。私はヒチョルの入隊は、カンインのが決まった時点である程度「こりゃ次ジョンスということはありえないからヒチョル来るな…」感があったので割と冷静に受け止めた記憶があるのだが(ちなみに私にとってカンインの入隊はあまりに突然で、しかし因果関係はバッチリ推測される出来事もあったので「こ、こ、これが噂の…!?!?」という戸惑いと恐れと不安がごちゃごちゃに混じっていた)、そして兵役は果てしなく長い時間の不在に思えるけれど期限がきっちり決まっているとも捉えることができるのだが、ちょっと今のヒチョルについては、終わりの見えないトンネルの中にいるような感覚がある。今回のカムバだけ、という話もあるみたいだし、本人も頑張りたい気持ちがあるように語ってくれていたけれど、これをしたら絶対に解決するという状態でもないのでしょう。そして、鋭い自意識を持つヒチョルが男子アイドルとして格好付けたダンスパフォーマンスをすることを照れているのにもずっと前から気づいていたし、その照れは年齢を増すごとにどんどん大きくなっているように見える。正規の本当に本当に大事なカムバだったら、もう一度歌番組のステージに立ってくれるのだろうか。少しでも長い間、少しでも多く、ヒチョルの華を見られることを切に願う。これがなきゃ、私のドルオタ生活は本当に寂しいものになってしまう。

人間は矛盾をはらんだ存在だと、ヒチョルを見ていると常に思い出す。引き裂かれた、人の期待に応えようとしつつも剥き出しの自我が張り詰めている、アンビバレントなあなたの心が少しでも安らかでありますよう。